こんにちは、池上校講師の木村美那子です。 今回はピーターラビットシリーズの紹介をいたします。 絵本を読んだことのない人はあっても、そのイラストを目にしたことのない人は少ないかと思いますし、キャラクターグッズを集めている人もいるのではないでしょうか? 作者はビアトリクス・ポター(Helen Beatrix Potter)というイギリスの女性絵本作家です。 当時の習慣から学校に行かず、家庭教師のもとで学習を続けていったポターには友だちが少なく、たくさんのペットを飼い、それらの世話をし、動物たちのスケッチをする日々を送っていました。 ピーターラビットは彼女の家庭教師の息子であるノエル・ムーアに送った絵手紙に初めて登場します。 「ピーターラビットのおはなし」の主人公であるピーターラビットは、いたずらっ子のうさぎです。 ある日、お母さんから森でくろいちごを摘んで来るように言われたピーターとその兄妹、フロプシー、モプシー、カトンテールですが、ピーターだけはマクレガーさんの畑にしのびこみ、畑の作物を食べてしまいます。 きゅうりの苗床の所に来た時に、ピーターはマクレガーさんと鉢合わせしてしまい、マクレガーさんとピーターとの追いかけっこが始まります。 お家を出る時に着ていた新しい青い上着と靴を脱ぎ捨てて、一目散に走ったピーターは、何とか無事にお母さんたちのもとに帰って来ることが出来ました。 ですが、マクレガーさんの畑でたくさん食べて、逃げに逃げて戻ってきたピーターはすっかりくたびれてしまった上に、お腹をこわしてしまいました。 お母さんの言うことを良く聞いてくろいちごを摘んだフロプシーとモプシーとカトンテールは美味しい夕ごはんをいただくことが出来ましたが、ピーターはベッドの中でカミツレの煎じ薬しかいただくことが出来ませんでした。 このピーターのいとこにはベンジャミンバニーがいて、ピーターの家族のフロプシーと結婚するのですが、このお話はまた今度の記事でお伝えしたいと思います。 今年は「ピーターラビットのおはなし」が出版されてから120年の記念の年で、世田谷美術館でも企画展が開催されましたし、ビアトリクス・ポターは「不思議の国のアリス」の作者であるルイス・キャロルと同じくらい、その人物像が研究されている作家です。 当時の階級社会や、世の中の様子、文化などとも深い関わりがあり、それらを反映させた作品やフレーズなどもあり、その繊細で美しい絵を楽しむだけでなく、ピリッとしたセリフなどにも注目すると、大人でもまた新しい楽しみ方が出来るかもしれませんね。 またKバレエカンパニーでは、イギリスのロイヤルバレエで上演されていた「The Tale of Beatrix Potter」を「バレエ ピーターラビットと仲間たち」として上演しました。全身着ぐるみのダンサーが素晴らしいテクニックを披露する様子は、まるで動く絵本のようです。 デジタル技術を駆使した映画も上映されていますし、それぞれの楽しみ方でピーターラビットたちと触れ合えそうですね。(木村)
0 コメント
こんにちは、池上校講師の木村美那子です。 先日投稿した「ほぐし」やストレッチはお試しいただけましたか? ご興味のある方はいつでもご質問くださいね。 特に「コモドストレッチ」はプロ野球選手やサッカー選手など、大舞台で競技をしている人々も取り入れている「複合ストレッチ」です。 長い時間行う必要はありませんが、こまめに、そして頻繁に行うことが大切で、ある選手は、毎日12回を1日のうちに6セット行うようにしているそうです。 ストレッチは「これをやったから上手になる」というものではなく、自分の行いたい運動を邪魔するような「詰まり」や「強ばり」をほどいていくためのものです。 それは、きれいにヘアスタイルをセットしたい時に、髪の毛がこんがらがっていたら上手くアレンジ出来ないので、まずはブラッシングをする…ということに似ています。 バレエではポジションやテクニックが決まっているからこそ、一足跳びにゴールを見てしまいがちですし、そのゴールに手が届かないことで淘汰されてしまったり、諦めてしまったり、時にはけがに繋がって「諦めざるを得ない」ことになってしまうこともあります。 でもそのような「上手くいかないこと」が出てきた時には、がむしゃらに取り組むことよりも「バレエ以前」の身体の状態をチェックしたり、「バレエ以外」の運動性を高めることがヒントになったりします。 昔は「脚が太くなるから」「肩がいかつくなるから」「腕の長さが変わってしまうから」…等と禁止されていた数々のトレーニングやスポーツ、運動が、現在ではトレーニングに取り入れられたり、許容されていることを考えても、ダンスに関わる人がダンスしかしない、とか、ダンスに関わる人がダンスしか興味を持たない、という考え方は変わりつつあるのでしょう。 今回の記事では、身体の外側の運動速度ではなく、身体の内側の運動速度や瞬発力を上げるワークをいくつかご紹介します。 ポジションにとらわれて、手足がバタバタと動いてしまうと、品がなく見えますから(どんなにチャキチャキした役を演じていても品がなくてはバレエとは言えませんね)、いわゆるインナーマッスルと言われる部分を目覚めさせ、連動性を高め、鍛えていけると良いですね。 これは腕の力を鍛えるものではなく、脇に近い胴体の「前鋸筋」に刺激を入れるワークです。 「脇を締める」という言葉は昔からありますが、脇を締めることは腕を胴体に引き寄せることではありません。(こんな時には腕や手の器用さや「動いてしまいやすさ」が邪魔をしますね。) この写真では肘の上に膝を乗せた「クレーン」というワークを行っていますが、ここにエネルギーの矢印を引き出すと…これはまた別の記事で! こちらも脇に刺激を入れていますが、出来るだけコンパクトに素早く回すことで、動かしている脇だけでなく、支えている部分の連動性も(もちろん運動速度も)高めていきます。 この前に先にお伝えしたみぞおちほぐしをすることを合わせて考えると、どんなスポーツに活かせるかが分かる人もいるのではないでしょうか。 ちなみにみぞおちほぐしには股関節と連動させたワークもありますので、ご興味のある人はご質問くださいね。 こちらは「転がること」が大切ではなく、「どこから動くのか」、「何のエネルギーを使うのか」など「動き出し」のポイントを明確にすることや、「エネルギーをどうやって連動させるのか」を身体で覚えていくワークです。どれだけ足を早く動かそうとしても、重心移動などを含めて「空間の中で動く」ことに活かせなければ「足踊り」(手先で踊ることを「手踊り」といいますね)ですから、効率良く身体を運べるようにしましょう。 プランクからの回転は、体幹のコントロールだけでなく、視点の予測、軸の変更、脇の出力など様々な要素のチェックが出来ます。素早く動くこと、ゆっくり動くこと、それぞれ目的に合わせて速度を調整する必要があり、動くことを生業にしている人でも、ギクシャクしてしまうケースもあり、慣れだけで動いてはいけないことを再確認します。
小さいお子さんの場合は「えんぴつコロコロ」というワークで代用します。 長くなってしまったのでインナーマッスルの瞬発力を上げるワークは、また次回にお伝えいたしますね。(木村) こんにちは、池上校講師の木村美那子です。 前回のアラベスクの記事を書く際に、たくさんのアラベスク模様やグロッタ(地下洞窟、墓所)の壁画を改めて見て、また自身のレッスンでもより細かくチェックをしたのですが、アラベスクは考えれば考えるほど難しいものだと痛感しました。 それはアラベスク模様をずっと見続けると目が回ってしまうような体験ですし、グロッタに描かれた動植物の様子に不思議な(時に不気味だったり、不可解な)気持ちになる体験と似ているかもしれません。 今回はそのアラベスクの「4つのポジション」についてご紹介します。 一般的に言われている説明は次のようなものです。 ◆第1アラベスク◆ 客席から遠い方の脚を軸足として、軸足と同じ側のアームスを前に、もう一方のアームスは横に伸ばして脚をあげる。 ◆第2アラベスク◆ 客席から遠い方の脚を軸足として、軸足と反対側のアームスを前に、もう一方のアームスは横に伸ばして脚をあげる。 ◆第3アラベスク◆ 客席に近い方の脚を軸足として、軸足と反対側のアームスを前に、もう一方のアームスを横に伸ばして脚をあげる。 ◆第4アラベスク◆ 客席に近い方の脚を軸足として、軸足と同じ側のアームスを前に、もう一方のアームスを横に伸ばして脚をあげる。 実際に文章を読みながら、自分の身体でアラベスクに挑戦した人はこんなことに気付いたかもしれません。 「客席に対しての軸足の左右を考えなければ、前になるアームスとあげる脚の関係は、第1アラベスクと第4アラベスクが同じで、第2アラベスクと第3アラベスクが同じではないかな??」 そこまで考えついた人は素晴らしい! 人間の手足の本数は限られていますから、細かく考えても脚の組み合わせは(方向を変えたとしても)4種類、アームスもいわゆる「アラベスクポジション」といわれるものは基本的に(方向を変えたとしても)4種類ずつしかないので、重複したように思われるものがあります。 次の写真を見て見ましょう。 第1アラベスクと第4アラベスクを同じ向きで比べたもの、第2アラベスクと第3アラベスクを比べたものです。 アームスや脚の左右は同じでも、「何かが違う…」と感じた人もいるかもしれませんね。 上半身の傾きや、ひねり具合、アームスの伸ばす様子がそれぞれ異なり、そこから表される「ニュアンス」や「雰囲気」が少しずつ変わっています。 音楽でも長調と短調で、最終的に耳に届くメロディの雰囲気が変わり、同じ短調でもニ短調とロ短調では印象が変わると思います。 また同じハ長調からの自然短音で構成されたイ短調と、和声短音で構成されたイ短調では「聴きやすさ」とでも言うか「好み」というか…の印象が変わって来ます。 そう言えば、音楽にも「アラベスク」と呼ばれるジャンルがありますね! シューマンたちの時代から始まったとされるアラベスクは、幻想的、装飾的な音楽で、またアラベスク模様のような繰り返しがあったり、奏者の手が唐草模様のように滑らかに交差するものです。 木村の大好きなドビュッシーのアラベスクも有名な曲なので、ぜひ聴いてみてくださいね。 見つめれば見つめるほど、単なる脚あげではない、奥深く繊細なニュアンスを持つアラベスク…この複雑さや答えになかなかたどり着けない性質こそが「アラベスクがアラベスクと呼ばれる理由」なのではないかとも感じます。(木村)
|