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「灰色の男たち」にならないために

5/6/2022

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こんにちは、池上校講師の木村美那子です。

前回の投稿でご紹介した、ミヒャエル・エンデの「モモ」には「灰色の男たち」という登場人物がいます。

彼らに名前はなく、大量生産された製品のように番号がついていて、その番号で「識別」されていて、彼らの命は人間たちから奪った「時間」で作った葉巻を吸うことで保たれています。(葉巻がなくなると生きていられないばかりか、その身体も煙のように消えてしまいます。)
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この「灰色の男たち」は人々から大切な「時間」を盗むために、様々な方法で心の隙間に入り込んできます。

特に影響を受けてしまったのは「大人たち」です。
「時間どろぼう」である「灰色の男たち」は、将来への不安や、お金儲けの話など、手をかえ、品をかえ、大人たちの心を揺さぶり、「いま、ここ」にある、たとえ多少貧しくても「心豊かな時間」を掠め取ろうとします。
そして「灰色の男たち」に言われた通りにあくせくと毎日を送る大人たちは、はじめのうちは自分たちのために良いと思われていた「システム」に、すでに自分たちがとらわれてしまい抜け出せなくなっていることに気付くのです。

一方で「いま、ここ」にある「心豊かな時間」の大切さを知っている子どもたちには、「システム」ではなく、「心豊かな時間」の中身をすかすかにするような「道具(おもちゃ)」を与えて、創造性や想像力を削りとりながら、「灰色の男たち」にとって扱いやすい存在に変えていきます。

「こんにちは、あたしビビ・ガールよ。」と決められたセリフを繰返ししゃべるこの人形は、子どもたちの遊びの可能性を狭め、だんだんと子どもたちの価値観までをも貧しいものにしてゆき、子どもたち自身もだんだんとロボットのように冷たい存在になってしまうのです。

モモがマイスター・ホラの家で体験した豊かな時間と対照的に、「灰色の男たち」が差し出してくるのは、便利かもしれないけれど、有能かもしれないけれど、本当の意味では相手に何も与えられない「冷たさ」です。

道具やシステム、ルールやメソッドは、人々を助け、支え、可能性をひろげ、(時間はかかるかもしれませんが)本当の意味での「心豊かな時間」に導く「手段」です。
私たちスクールの講師も、バレエのレッスンや発表会などを通して、子どもたちと本当の意味での「心豊かな時間」を共有出来る存在で在れたら、と思います。(木村)
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