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「自然的」なもの

7/10/2022

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こんにちは、池上校講師の木村美那子です。

先日投稿した新宿マルイ本館8階のイギリス式庭園「Q-COURT」へは、皆さん足をお運びいただけたでしょうか?
今回の投稿では、そのイギリス式庭園についてもう少しお話していきましょう。

「庭園」には「イタリア式庭園」「フランス式庭園」「イギリス式庭園」などがありますが、それぞれに特徴があります。
イギリス式庭園は「自然風景式庭園」とも呼ばれ、「フランス式庭園(整形式庭園、平面幾何学式庭園)」の要素と相対するものとして考えられています。
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フランス式庭園は、国王シャルル8世がイタリアを訪れた際に、その様子に感動した「イタリア式庭園」を、フランスの土地に応用したものを作らせたと言われています。
ヴェルサイユ宮殿の庭園に代表されるように、左右対象に木々や彫刻が配置され、噴水などが「時間の経過に関わらず不変なもの」を表しているとされています。
もちろんその左右対象の中にも、遊びとしての差異があり、それが個性や特徴になっていることを考えると、まるでバレエのポジションやムーヴメントのようですね。

一方のイギリス式庭園は、自然の曲線を取り入れたもので、噴水よりも池や小川などが用いられ、自然の風景のように作られる庭を指します。
自然の景色が区画ごとに分割されたり、突然その様子を変えることのないように、イギリス式庭園でも「すべての点で自然を念頭におくこと。土地の精霊に相談せよ」と言われる作庭を目指して行われました。
この「土地の精霊」という言葉は、先の投稿でご紹介した「真夏の夜の夢」に出てきたたくさんの妖精や精霊を思い起こさせますね!
このイギリス式庭園は自然の美、つまり不規則であることや絶え間なく変化することの美しさを表して、後年イギリスの美的感覚にも影響を及ぼすようになります。
イギリス式庭園で特徴的な「ha-ha」は、敷地内で飼っている羊などの家畜が、庭園の植物を食べたりしないように作られた石垣ですが、これも人間側から見ると芝生に溶け込んで、いかにも「人工物」が無いように見せていますね。

日本でも流行している「ガーデニング」は、「イングリッシュガーデン」のことを指しますが、これも「自然に見えるように」設計することが大切ですが、ここでのポイントはあくまでも「自然」ではなく「自然的」であることです。
以前の投稿で、バレエでの表現が、たとえ自然な感情から導き出されたものであっても、それが今の自分たちが感じるような「自然」さであってはならない、ということをお話しました。
また、その表現の空間性や時間性は、バレエが生まれ、また育ってきた時代や文化を反映するものである、ということもお伝えしました。
スタニラフスキーのメソッドが一般的になってから(スタニラフスキーについてはまた別の記事でお話いたします。)、具体的にその場の状況や、行動、それに対する感情などを掘り下げていくことが重要視されるようになりましたが、それは今の自分の感覚に寄せるということではありません。
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舞台の上で踊り、芝居をし、お客さまに「何か」を伝えるためには、文化や思想を学び、正確な「型」という共通語を用いて、それを踏まえた上でストーリーや役柄としての自分を「作庭」していくことが大切なのです。(木村)
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