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バレエでの「多様性」

5/11/2022

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こんにちは、池上校講師の木村美那子です。

前回の投稿で、本題の「コンテンポラリーって?」からは少し離れたかもしれませんが、「多様性」についての金森氏の引用をさせていただきました。
今回はその「多様性」について、少しずつお話していこうと思います。

2018年、現在はチャコットの傘下にある、大手バレエ用品メーカーの「フリード・オブ・ロンドン」で、「ピンク色ではない」トゥシューズが発売され、大きな話題になったことを、皆さんはご存知でしょうか?(ゲイナー・ミンデンもそれ以前に発売していたが、それほど話題にはなりませんでした。)
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それまで、トゥシューズはサーモンピンク、チェリーピンク、ロイヤルピンク…など様々な種類ではありますが、ピンクに統一されたカラーの取り扱いしかありませんでした。
また、バレエタイツについても白、ピンク、肌色に近いベージュが主に用いられてきました。

まずは、その「ピンク色ではない」トゥシューズが販売されたことの意味を考えてみましょう。
これまでお話してきたように、バレエは王候貴族の社会で生まれ、ある時代まではそのような人々に守られて育ってきました。
そしてそのような人々がイメージをする「お姫さま」や「王子さま」、そして「フェアリー」は、自分たちの暮らす世界から想像されたので、いわゆる「白人」となったのです。
それ以来、メソッドだけでなく思考もバレエの一部として、世界に広まり、また根付いてきました。

しかし、世界はそんなに狭いものでも、限定された人間で成立しているものでもない、ということは、16世紀ではなく、21世紀に生きる私たちから見れば「当たり前」のことです。
ですから、いわゆる「白人にならなければならない」というような慣習や考え方に縛られる必要はありません。
「ピンク色ではない」トゥシューズは、その事をバレエの世界に発信するきっかけになったと思います。


その一方で、「作品」や「役柄」について考えてみましょう。
すでにイタリアのルネサンス期には「タイツ」が登場しており(形は長い靴下のようなものでしたが)、王候貴族はもちろんのこと、一般市民もその「おしゃれ」に追い付こうと様々な工夫を凝らして、脚にフィットした「タイツ」を作って着用していました。
ルネサンス期のテーマは「ギリシャ・ローマの自然美の復活」だったので、脚にフィットした「タイツ」で脚線美を見せようとしていたようです。
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そして、フランスに伝わり、ルイ14世のもと「国王たるもの、ものを言わずとも、その立ち姿、佇まいがエレガントであること、それが王の威厳である」という考えから、さらに洗練され、その脚線美のためにハイヒールを履くなど、タイツと靴の関係性も重んじられていきます。
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と言うことは「タイツの文化のある時代」の人物を演じるには、やはり「タイツの文化のある時代」を理解する必要があるのです。(たとえそれが奇抜な色の組み合わせだったとしても…!)
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日本で言えば時代劇の役者さんが「21世紀なんだから、殿様に平伏しなければならないのはおかしい!」などと、色々リクエストをしたとしたら、時代劇は時代劇としての様相をとれなくなってしまうでしょう。
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また舞台効果についても考えてみたいと思います。
私たちがタイツとシューズの色を揃えるのは「少しでも脚を長く、美しいラインで見せることで、自分たちの踊りがより良い形で客席に届く」と考えているからです。
もちろん、それはタイツやシューズに頼ることなく、日々のレッスンやトレーニングで獲得していくものですが、「人に観ていただく」という責任においては、努力や工夫の出来るところは、手を抜かずに行うものだとかんがえます。

例えば、同じくらい美味しいお料理をいただける2軒のお店を考えてみましょう。
一方はテーブルが汚く、盛り付けも雑で、「召し上がれ」も「ありがとうございます」も無いお店、もう一方は「より美味しく召し上がっていただくには」と丁寧なお仕事を目指し、努力や工夫出来るところはないかな?と考えるお店…皆さんが、「また行きたいな!」と思うのはどちらでしょうか?


ここまでをまとめると、前回の記事でもお伝えしたように、現実の世界での多様性や「ひとりひとり」の大切さは守られるべきで、その上で「ある作品」をより良い形で、よりたくさんの人たちと共有するための努力を惜しまず、そのためのツールを生み出せるように、人々がお互いを尊重しながら「自分に出来ることは何だろう?」と考えたり、行動することが、多様性の目指すものなのではないでしょうか?

おまけ:みなとシティバレエ団の団長でもあり、附属スクールである三田バレエスクールと池上バレエスクールの校長でもある岡脇柚太加先生とお話をしていると、そのために何をしようか?というアイディアにわくわくします。今後のバレエ団とスクールの活動もお楽しみに!(木村)
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