こんにちは、池上校講師の木村美那子です。 木村のレッスンCDの中に「マイフェア・レディ」の中で歌われる「運が良けりゃ(With a Little Bit of Luck)」の曲が入っています。 皆さんは「マイフェア・レディ」を観たことがありますか? 木村はオードリー・ヘップバーンが主人公・イライザを演じた映画版を観てきましたが、皆さんのお父さんお母さん、おじいちゃまおばあちゃまは、「メアリー・ポピンズ」で有名なジュリー・アンドリュースが主演したミュージカル版を体験しているかもしれませんね。 日本では大地真央さんが長年イライザを演じてこられ、最近では朝霞まなとさん、神田沙也加さんがダブルキャストで主演されました。 この「運が良けりゃ」は主人公・イライザの父親・アルフレッドが歌う曲なのですが、これがまた「お調子者」な感じが「むむむ…!」と、真面目な人が聴けばとても納得いかない感じの内容なのです。 ですが、このアルフレッドを演じるスタンウェイ・ハロウェイという俳優さんが良い味を出していて、何だか憎めない存在でもあります。 さて、この曲はレッスンCDの中では「バトマン・フラッペ(battement frappe)」で使われているのですが、この曲を聞くたびに、メロディの明るさだけでなく、歌詞の内容を思い出して緊張が少しほぐれるのを感じます。
ここから数回にわたって「マイフェア・レディ」を例にあげて、いくつかのテーマでお話をしていきたいと考えております。 今回の記事でお伝えしたいことは「音楽の雰囲気や意図をキャッチしよう!」です。 以前に投稿した記事でも、レッスンで使う音楽には「なぜこのリズムなのか?」「なぜ長調(短調)なのか?」「なぜ3拍子(2拍子、4拍子)なのか?」理由がある、とお話しましたが、それに加えて「なぜ同じ4拍子でも、この曲を選んだのか?」も考えてみると面白いと思います。 音楽は単なるBGMではありません。 チャイコフスキーが言ったように「バレエで用いられる音楽は、音楽としても素晴らしいものであるべき」ですし、その音楽を踊りという「目に見えるもの」にしていくことで、舞台の上のダンサーと客席の方たちで「共有」することが出来ます。 「私が目立ちたい!」という小さな(狭い)気持ちが、だんだんと「より良い時空間を共有したい」という大きな(広い)気持ちになってくると、劇場という大きな空間で踊る時にも、きちんと客席に届く踊りをすることが出来るようになるのではないでしょうか? そのためにもたくさんの音楽に興味を持ち、また様々な芸術やエンターテイメントにもアンテナをひろげて、色々なことをキャッチ出来るようになると良いですね!(木村)
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こんにちは、池上校講師の木村美那子です。 新宿マルイ本館で行われている、写真展「Ballet Authentic」はご覧いただけましたでしょうか? 6月の2週目には展示内容が変わり、また会場も(マルイ本館ではありますが)大幅にリニューアルされますので、まだご覧になっていない方はお急ぎください。 また、会期中に何度も足をお運びいただいてくださった皆さまには、ぜひ後半戦の展示も楽しみにお待ちいただければと思います! 近年の技術の発達で、スマートフォンでもきれいな写真が撮影出来るようになり、またInstagramなどのSNSで気軽に多くの人と共有出来るようになりました。 バレエやダンスでの写真と言えば、公演や発表会などでの舞台写真が主となりますが、それらも大きく分けて「記念や記録としての写真」と「作品を伝えるための写真」があるように思います。 写真は映像と違って動きませんから、その使い方としては「ある一瞬」を切り取り、画面に紙面にやきつけることになります。 さて、その1枚からは何が見えて来るでしょうか? そのダンサーが実際に踊っているところに立ち会ったことがなくても、その作品を観たことがまだなくても、まるでその人の踊る様子を観たかのように感じられる、まるでその場に居たかのように感じられる写真であったとしたら、その写真も「生きた作品」として素晴らしい存在であると言えるでしょう。 もしかすると、そのダンサーが今までどれだけ踊りに心を傾けてきたか、その作品への想いがこもっているか、という「愛」や「熱量」までをも感じられる、素晴らしい体験が出来る人もいるかもしれませんね。 ダンサーはポーズ、ポーズを舞台でお見せするわけではなく、むしろそのポーズとポーズ、ポジションとポジションを「どうやって繋いでいくか」、言葉の無い身体表現の作品を「どうやって紡いでいくか」、作品の時空間的な「共有」を目指しています。 そのために音楽があり、たとえ音楽がなかったとしても、自分達の呼吸や心臓の鼓動をリズムにして、時間的な表現を行えますし、その時間の経過によってポジションからポジションへの繋がりを空間的に表すことが出来ますね。 かつてヨーロッパでは36面体の中に入って、「ここから、ここへ、このように身体のパーツが移動する」と言うような、ダンスにおけるポジションと動きの解明を目指した研究もされましたし、逆に「牧神の午後」という作品のように、あえてレリーフのような平面的な表現に挑んだ踊りもあります。 この「牧神の午後」はドビュッシー作曲、ニジンスキー振り付けの作品ですが、その平面的な表現から立ち現れるのは、むしろより生き生きとした神話世界の登場人物の「在りさま」です。古典バレエの華やかさとは異なりますが、ぜひ一度ご覧くださいね。 「牧神の午後」より
芸術は立ち止まることを知りません。 それは芸術に携わる私たち人間が「生きている」からでもあります。 これからも時間の流れや、空間のひろがりや、体温を感じられる芸術であることを忘れず、それらを多くの人と共有するために「共通言語」としてのポジションや、ステップを丁寧に磨いていくことが大切だと考えています。(木村) こんにちは、池上校講師の木村美那子です。 木村がバレエを習い始めたのは、幼稚園の年長組だった6才の頃です。 今でこそ、スポーツクラブやカルチャーセンターなどで「気軽に」バレエを習えますが、当時は「習い事」というよりは「稽古事」として、今以上に「入門する」というような考え方でした。 当時の記憶は断片的ですが、初めてのストレッチが思った以上に出来なかったこと、自分で振り付けをする課題が大好きだったこと、お姉さんたちのクラスに進級したばかりで緊張したこと、クラスのみんなでお昼ごはんをいただいたこと…などを覚えています。 自分が「先生」という立場になって、改めて子どもたちと向き合うと、何かのイベントでの思い出よりも、日々のレッスンでのひとりひとりの様子の方が印象に残っているように思います。 ケンケンが出来た、バランスがとれた、爪先がきれいになった、エポールマンが美しかった…色々な「出来た!」を子どもたちと共有出来た瞬間の、子どもたちのきらきらしたお顔や、自信をつけた様子が「先生」である自分にはとても嬉しく思えるのです。 先日、それまでずっと「下級生」だった生徒さんが、小さい生徒さんのお世話をしたり、こそこそっとアドバイスをしてあげている様子を見て(しかも正しいことを、分かりやすい言葉で伝えていました)、彼女の精神的な成長にびっくりもし、嬉しくもあり、担任ながら感心しました。 子どもたちの成長は技術的なことばかりではありません。 みなとシティバレエ団付属池上バレエスクールでは、バレエのレッスンを通じて「より良い」「より正しい」バレエの習得はもちろんのこと、子どもたちの心身の可能性や伸び代を見守り、支えることも出来ればと考えております。 バレエは嘘がつけない芸術です。
流行に左右されるような表面的な美醜の評価や、作品理解、表現の仕方には、時代や個人的な価値観も反映されますが、400年以上伝えられ、バレエに携わる全ての人が求めてきた「真・善・美」は、「インスタ映え」をはるかに超えて人々の心の奥底に届きます。 手元に残るような、形のあるものではないからこそ、本当の意味での「豊かさ」を共有出来るのではないでしょうか。 ぜひ多くのお子さまとご縁をいただき、そんな「豊かさ」をともに味わっていけますことを、心より願っております。(木村) こんにちは、池上校講師の木村美那子です。 以前の投稿で「ハイハイの大切さ」をお伝えしたことを覚えていますか? ハイハイをすることで、背骨のコントロール力だけでなく、肋骨に納めきれない内臓を支えるための筋力を身につけることが出来ます。 今回の投稿では、その延長として「プランク」をご紹介いたします。 プランクは一定時間、同じ姿勢を保ち、静止した状態で筋肉に刺激を与える「アイソメトリック運動」に分類されます。 いわゆる「体幹トレーニング」として、写真のようなものが一般的です。 ですが、バレエ(だけではなく他のダンスやスポーツもそうですが)は、じっとしたままでは成立しませんから、ハイハイや体幹トレーニングで得た安定感を「土台」にして、身体の様々な部分を繊細に、かつダイナミックに動いてみることも大切です。 まずは2枚目の写真のように、手や足を浮かせて負荷を高めてみましょう。この際、バランスをとるために、目線や頭の位置がずれたり、背骨が必要以上に逃げたりしないように気を付けましょう。 写真の3枚目では、手のひらをついたところから、身体を床に下げて、片方ずつ肘をついてゆき、またそこから手のひらで床をプッシュ出来る身体の位置に戻しています。 「ハイハイの大切さ」の記事で、先にお話したように内臓を支える筋力のお話に加えて、背骨と肩甲骨の関係のお話もしましたが、四つんばいで手足を動かす場合には背骨と肩甲骨が動きますが、その動きがバレエで使えるような、コントロールされた、最小限のブレで実施出来るものにしていく必要があります。 内臓を支えることが出来るようになったら、写真の4枚目のように「サイドプランク」にも挑戦しましょう。 おへその向きを目安にすること、お尻が引けないようにすること、等々、胴体以外のパーツについてもチェックする必要が出てきますので、鏡に映したり、周りの人に確認をしてもらうと良いかもしれませんね。 写真5枚目では、みぞおちから上を3Dに動かすことで、さらに負荷をかけて胴体の安定感の向上を目指します。 最後の写真はみぞおちを中心に脚を動かすことで、胴体の安定感に加えて「操作性」を出せるようにするワーク「スネーク」ですが、こちらはスポーツ選手にもかなり有効なトレーニングとなります。 プランクはアイディア次第で、様々なジャンルの人に応用の出来るトレーニングです。
その一方で「見よう見まね」で実施していると、お腹を支える力が弱い人は特に、腰を痛めたり、肩関節や、股関節に必要の無い負担を掛けてしまうので、気を付けましょう。(木村) こんにちは、池上校講師の木村美那子です。 毎年新学期になると、私たち講師は、新入生の皆さんと「はじめまして」のご挨拶をしますが、担任制をとっているみなとシティバレエ団附属スクールでは、「はじめまして」は生徒さんにとってそれほど頻繁にあることではありません。 だからこそ私たち講師は、子どもたちの体験する「はじめまして」を大切にしています。
それはもちろんバレエとの出会いでもありますが、それだけではなく、先生との出会いや、お友だちとの出会い、新しい課題との出会いや、作品、振り付け等々、様々な「はじめまして」がより良いものであるように、またより良いものに出来るように、それぞれのクラスで工夫を凝らしています。 現実的なお話をすると、バレエは稽古を積めば積むほど、楽しいだけのものではなくなってきます。 自分の課題と向き合い、振り付けと向き合い、時には自分自身の心身にも正面から向き合わなくてはなりません。 それは時に(バレエへの憧れや、理想があればあるほど)本人の心に負担になったり、傷つけたりすることもあります。 ですが、その向こう側には、課題を乗り越える達成感や、作品を客席のお客さまと共有する喜びや、仲間同士の連帯感など、たくさんのきらきらした体験が待っています。 そして、そのような体験を通じて、本当の意味での自己肯定感を高めることが出来、バレエ以外でもしなやかに強い人間に成長していくことが出来るのではないでしょうか。 そこに至るまでの道のりを歩き続けるためのエネルギーは、すべて「はじめまして」の瞬間から子どもたちの中に生まれていますから、その「はじめまして」がより良いものであるようにセッティングすべく、私たち講師はひとりひとりに合った「はじめまして」を用意したいと考えています。 大人はどうしても「大人の目線」で物事を見たり、「大人の視点」で物事を判断したり、「大人の立場」で物事を考えたりしがちです。 例えば「バレエの先生」は「バレエが上手になってからの自分」が、物事を判断したり考えたりする土台となってしまいがちで、「バレエが上手になる前の自分」がどのようなことを考えていたか、どうやって自身を向上させるに至ったか、子どもの頃の「いま、ここ」で感じていたはずのことを忘れてしまっているように思います。 もちろん「先生」として、生徒の皆さんを導き、支え、手助けするためには、「先生」として見て、聞いて、考えて、行動することも大切ですが、やはり子どもたちの「いま、ここ」で起きていることを、「大人」とか「先生」という色眼鏡をかけて見るようなことが無いように気を付けたいものです。 これからもたくさんの子どもたちと、より良い「はじめまして」を体験していけるように、クラスをお届けしてまいります。(木村) こんにちは、池上校講師の木村美那子です。 先の投稿では扇子を使って踊るための練習をご紹介しましたが、今回もそれに引き続き、踊りで使う小道具のご紹介をいたします。 まずは「カスティーニャ」ですが、これはスペイン舞踊やフラメンコで使用するカスタネットです。 幼稚園や小学生の皆さんが使う赤と青の「カスタネット」とはだいぶ形が違いますし、指を入れる所もゴムではなく紐になっています。 実際のフラメンコではこの紐を親指にかけて使います。 片方ずつ音程が違うので、利き手側に高い音、反対の手に低い音のものを付けて、高い音の方は小指・薬指・中指・人差し指とバラバラに打ち、低い音の方は人差し指と中指で1回だけ打ちます。 バレエの場合は、オーケストラの方が音楽を奏でてくださいますから、そこまで細かく打ちませんし、ともすれば自分の打った音がオーケストラを邪魔してしまうこともあるので、音が出ないようにクッションを挟む場合もあります。 「ドン・キホーテ」の中で、主人公のキトリが街の人たちを盛り上げながら踊るヴァリエーションなどで使われることが多いです。 続いて「タンバリン」は表面に皮がはってある(はっていないものもあります)ので、太鼓のようにリズムを打つことも出来ますし、縁についている小さな「ジングル」というシンバルの部分で鈴のようにならすことも出来ます。 この楽器の起源は古く、北アフリカや中東の「タール」から来ていると言われたり、西アジアからインドや中国をわたってヨーロッパに伝播したとも言われています。 これは先の記事でもご紹介した「白鳥の湖」の「ナポリ」の踊りだけでなく、「ドン・キホーテ」や、ジプシーたちのパフォーマンスとして「エスメラルダ」などでも使われます。 踊りで使われる時は、衣裳や動きの邪魔にならないように、少し小さめのものが用いられることが多いようです。(木村の使っているタンバリンも小学校で使われる子供用の小ぶりなサイズとなっています。) 人類の最古の楽器は「笛」と「石で出来た<鉄琴>のようなもの」だといわれていますが、このお話についてはまた別の投稿でお伝えしたいと思っています。
人間の持つ心臓や脈のリズム。 これらを励まし、元気付けたり、盛り上げたりするタンバリンやカスタネットなどの小さな打楽器も、どのように踊りの中で使われているのか、ぜひ注目していただきたいですし、そこからバレエ音楽やオーケストラ、楽器の演奏についても興味を持っていただけたら嬉しいです。(そう考えると、ますますバレエが「総合芸術」であることが実感出来ますね!)(木村) こんにちは、池上校講師の木村美那子です。 みなとシティバレエ団附属三田バレエスクールでは、8月の発表会に向けて練習が進んでいます。 スクールの発表会では、「発表会だから」と言って、急に難しい内容に取り組むことはありません。 ですが、舞台の上から客席の皆さまにパフォーマンスをお届けする以上は、レッスンの内容であっても「作品」としてお見せ出来るように練習を積み重ねますし、課題の作品であればなおのこと、お客さまが見て楽しむことも出来るように、振り付けを「踊り」として磨いていく必要があります。 そのような中で大切になってくるのが、身体のケアです。 今回はレッスン前やレッスン後に行う簡単なケアのご紹介です。 小さい生徒さんは、それ以前によく寝て、よく食べて、よくお勉強をして、よく遊んで、よくお手伝いをすることで、自然とエネルギーがチャージされますから、のびのびと生活しましょう。 先の投稿でお伝えした「皮膚をゆるめる」こともしながら、今回お伝えするケアにも取り組んでみてくださいね。 写真の1枚目は膝関節の動きをスムーズにし、「ウナ」を軽くたたくことで足全体のつながりを良くしています。 小さなストレッチ・ポールで、背骨や股関節、また振り付けを練習する中で、同じ動きを繰り返すことで「クセ」のつきやすい脚をリセットしています。 足の外側と内側、前側と後ろ側の筋力のバランスを調整するために、セラバンド(薄いゴムバンド)で軽い負荷をかけています。 バレエではターン・アウト(外旋、アン・デオール)の動きを維持し続けるので、筋肉のバランスや運動性に少なからず影響を与えますから、レッスンが増えるほど、「バレエではない」動きを意識的に行う必要があります。 「バレリーナっぽい」からと言って、日常的に足をがに股にして歩くのは決して正しいこととは言えません。 出来るだけ全身の筋肉がバランス良くはたらくように心がけましょう! おまけ:写真の5枚目は「フロッグハンド」というケア用品で、足首や土踏まずを動かすだけでなく、足指の間にも刺激を入れてくれるので、足がくたびれた時に使っています。(木村)
こんにちは、池上校講師の木村美那子です。 これまで作品紹介ではチャイコフスキーが音楽を手掛けたものを中心にお送りしてきました。 これは「三大バレエ」として有名なだけでなく、音楽そのものも素晴らしい「作品」となっているからです。 チャイコフスキーはバレエ音楽を手掛けるにあたって、「バレエ音楽も音楽として素晴らしいものであれば、ダンサーたちの踊りがいかようであっても、その作品は良いものになる」と言ったと伝えられています。 チャイコフスキーがバレエ音楽を手掛けるようになるまでは、バレエ音楽は単なる踊るためのBGMであり、その作曲はまずダンサーが踊りやすいこと、そしてどんな振り付けや、どんなストーリーにも対応しやすいようになされていました。 ですから、それまでのバレエ音楽は最初に作られた作品「以外の」作品でも使われることがあったのです。 今回ご紹介する「海賊」という作品も、様々な作曲家の音楽が入れ替わり立ち替わり登場します。これは逆を言えば「ダンサーの特性を活かした作品にすることが出来る」ということでもありますから、「何がどうなっているのか」をきちんと理解して楽しむことも大切ですが、逆に「細かいことを考えずに」踊りのスケール感や、ダンサーの技巧や美しさを味わうことも出来るのではないでしょうか。 特にバレエコンサートなどでも多く上演される「花園」と「洞窟のグラン・パ・ド・ドゥ(トロワになることもあります)」は、その華やかさや美しさ、そして主役たちの絶対的なテクニックをお見せする必要があるので、ダンサーにとっては「よーし、やるぞ!」とわくわくすると同時に、(他の作品名でももちろんそうですが)プレッシャーも感じます。 さてストーリーは簡単なので、あらすじをご紹介しましょう。 お話の舞台はギリシャのとある島。そこに暮らすギリシャ人の娘、メドーラとその友人ギュリナーラが海岸で遊んでいると、浜辺に打ち上げられた男たちを見つけます。 彼らは海賊で船が座礁してしまったことをメドーラたちに明かしますが、当時大きな権力を持っていたトルコの兵隊に見つかれば捕まってしまう、と困った様子の船長・コンラッドと恋に落ちたメドーラは、彼らを洞窟に案内するのでした。 ですが、その時に運悪く奴隷商人のランケデムに見つかってしまったメドーラとギュリナーラは拐われてしまい、それを見たコンラッドたちは、友人のビルバントと、部下のアリたちと共に変装をして、奴隷市場にメドーラたちを助けに向かうのでした。 市場ではトルコ人のザイード・パシャが、自分の宮殿の中にあるハーレムに住まわせるための女性たちを探しに来ています。 そこで奴隷商人のランケデムは、すかさず先ほど拐ってきたメドーラとギュリナーラをはじめとするギリシャの娘たちを紹介するのでした。 彼女たちの美しさに機嫌の良くなるパシャですが、ランケデムの提示した金額に納得がいかず、値段の交渉を続けています。 そんな中で変装したコンラッドたちが現れて、かろうじてメドーラと何人かのギリシャ人の娘たちを救出することができました。 隠れ家の洞窟に戻ってきたコンラッドとメドーラたちは、祝杯をあげますが、メドーラの「ギリシャ人の娘たちは解放して家に帰らせてほしい」という申し出に、ビルバント以下の海賊たちは「自分たちの手柄を手放したくない」と反論します。 ですが、メドーラと恋仲になったコンラッドは、彼女の願いを聞き入れてギリシャ人の娘たちを解放してあげました。 その様子が面白くないビルバント以下海賊たちは、奴隷商人のランケデムと手を組んで、コンラッドからメドーラとギリシャ人の娘を奪い、ランケデムはこれをチャンスとばかりに、彼女たちをパシャのもとへ連れていくのでした。 パシャのハーレムではギュリナーラたちギリシャ人の娘たちが、捕らえられ豪華な衣裳を身に付けさせられています。
そこへ連れてこられたメドーラたち。メドーラとギュリナーラは再会を喜びますが、パシャに捕らえられてしまっていることには変わりません。 一方のパシャは、自分のお目当ての娘たちを手に入れることが出来て大喜び。夢の中でもメドーラたちが美しく舞い踊り、幸せな時間を過ごすのでした。 そこへやって来た巡礼の一団。彼らは巡礼の途中の宿を探していると言い、それを聞いたパシャは彼らを招き入れますが、実はこれも変装したコンラッド一行で、その場はあっという間に戦いの場面に変わります。 ビルバントと裏切りを知っているメドーラは、コンラッドにそれを伝え、コンラッドはビルバントやランケデムを退治して、メドーラたちと逃げ出すのでした。 ラストシーンは、海賊船に乗って大海原に漕ぎ出すコンラッドたちの姿で幕をおろすパターンと、そのあとに大嵐が来て…というパターンがあります。 6月には、みなとシティバレエ団のスタジオパフォーマンスとして「海賊」の抜粋版が上演されます。 果たしてどんな音楽が使われるのか、どんなストーリーに演出されているのか、今から楽しみですね! こんにちは、池上校講師の木村美那子です。 近年、様々なトレーニングツールやトレーニングギアが開発され、また手軽に自宅用として購入出来るようになりました。 皆さんのお家にも、何かしらのトレーニング用品があるのではないでしょうか? 今回の記事では「ストレッチ・ポール」についてお伝えしていきます。 Stretch Pole®️は、すでにメジャーなトレーニング用品ですが、この写真のように、背骨周りをゆるめたり、肩周りや胸の筋肉をストレッチするだけになってしまっていませんか? ストレッチ・ポールはそのシンプルな形状だからこそ、幅広い使い方が出来ます。 次の写真は、いわゆる体幹の意識を高めるワークです。 脚や腕を上げ下げすることで不安定になる身体を安定させるには、どの辺りに意識を置けば良いでしょうか? 慣れてきたらアームスをバレエで使うポジションにして、バレエのワークにもリンクさせることで、トレーニングしたこととバレエとが無関係になってしまわないようにしていきましょう。 もちろんストレッチの負荷を高めることにも使えます。 いつものストレッチのワークにストレッチ・ポールを加えることで、動きを出して筋肉が動きやすくなるのを助けたり、高さを出すことで、負荷を上げて筋肉の長さを導きやすくしてくれます。
(ストレッチには「静的ストレッチ」と「動的ストレッチ」があり、それぞれに長所や短所がありますが、それについてはまた別の記事でご紹介いたしますね。) ジュニア以上の生徒さんには、ストレッチ・ポールなどを使ったトレーニングをレッスンに取り入れています。 次回の記事でも、引き続きストレッチ・ポールを使ったワークをご紹介していきますね。 また、トレーニングは「見よう見まね」で行うと、効果が出ないばかりか、間違えた結果になってしまったり、怪我につながることもあるので、きちんとトレーナーや先生のもとで行うようにしましょう。 特に今はSNSなどで、柔軟性を自慢するような投稿や、本来であればジュニア世代ではやらない方が良いワークをしているものが、多々あります。 どうぞ「映える(ばえる)」ワークではなく、自身の身体作りに「意味のある」ワークを行ってください。(木村) こんにちは、池上校講師の木村美那子です。 先日の「白鳥の湖」からご紹介した「ナポリ」の踊りは、楽しんでいただけましたか? 実際に踊らなくとも、その音楽を聴いて「<白鳥の湖>も観てみたいな」と思っていただけたり、その他のチャイコフスキーの音楽(バレエの音楽以外にも素晴らしい曲をたくさん残しています)に興味をもっていただけたら嬉しいです。 さて、ナポリのお写真を見て「何を持っているんだろう?」と思った人もいたことでしょう。 あの踊りで使っていたのは「タンバリン」です。 「ナポリ」の踊りだけでなく、「タランテラ」(毒グモのお話を覚えていますか?)など、イタリアで踊られていた民族舞踊をもとにしたキャラクターダンスでは、タンバリンを使うことがあります。 あの明るい華やかなリズムは、その場を盛り上げ、楽しい気持ちにすることが出来そうですね! 今回はそこから踊りで使う「小道具」をご紹介していきます。 「白鳥の湖」でも「スペイン」の踊りがありますが、そこで使われるのが「扇子」です。 バレエ以外でも、日本舞踊などでも使われますし、踊りをしていない人でも日常的に使っている人もいることでしょう。 日本舞踊では風の抵抗を利用してくるりと回すこともありますし、扇子の面に描かれた絵も大切な表現の一部なので、きちんと紙や布を貼ったものになっていますが、バレエだ使う扇子は踊りの邪魔にならず、また衣裳の一部として華やかさを加えるために出来るだけ軽く、そしてレースなどを貼って作られています。 例えば「ドン・キホーテ」では主役のキトリだけでなく、街の女性たちも扇子を持って舞台に登場しますが、この時「小道具として扇子を持っています」と見せてしまっては、お芝居が成立しませんね。 日常的に扇子を使っているように演じるためには、やはり日頃から扇子に慣れておかなければいけませんから、ダンサーたちは本番でお衣裳さんや小道具さんからいただく扇子の他に、リハーサル(振り付けの練習)で使う扇子を自分で用意しています。 1枚目の写真は木村のリハーサル用の扇子です。 骨がプラスチックで出来ているので、壊れやすいのが玉に瑕ですが、軽くて開閉もしやすいので、大切に使っています。 先の投稿でキャラクターダンスは民族舞踊を「もとにした」バレエの踊りであることをお伝えしましたが、「スペイン」の踊りでも、その要素を取り入れつつも「バレエ」であることを忘れてはいけません。 ですから、扇子を持った時には扇子の先端までが自分のアームスであるかのように動かす練習をします。 扇子を持ったままで、ポール・ド・ブラを練習している様子です。 バレエ以外でも、日本舞踊などでも使われますし、踊りをしていない人でも日常的に使っている人もいることでしょう。 日本舞踊では風の抵抗を利用してくるりと回すこともありますし、扇子の面に描かれた絵も大切な表現の一部なので、きちんと紙や布を貼ったものになっていますが、バレエだ使う扇子は踊りの邪魔にならず、また衣裳の一部として華やかさを加えるために出来るだけ軽く、そしてレースなどを貼って作られています。 例えば「ドン・キホーテ」では主役のキトリだけでなく、街の女性たちも扇子を持って舞台に登場しますが、この時「小道具として扇子を持っています」と見せてしまっては、お芝居が成立しませんね。 日常的に扇子を使っているように演じるためには、やはり日頃から扇子に慣れておかなければいけませんから、ダンサーたちは本番でお衣裳さんや小道具さんからいただく扇子の他に、リハーサル(振り付けの練習)で使う扇子を自分で用意しています。 1枚目の写真は木村のリハーサル用の扇子です。 骨がプラスチックで出来ているので、壊れやすいのが玉に瑕ですが、軽くて開閉もしやすいので、大切に使っています。 先の投稿でキャラクターダンスは民族舞踊を「もとにした」バレエの踊りであることをお伝えしましたが、「スペイン」の踊りでも、その要素を取り入れつつも「バレエ」であることを忘れてはいけません。 ですから、扇子を持った時には扇子の先端までが自分のアームスであるかのように動かす練習をします。 扇子を持ったままで、ポール・ド・ブラを練習している様子です。 踊りの中で使う時は、日常生活でするようにパタパタとさせるのではなく、キャラクターダンスのアームスの基本(バレエでもそうですが)である「肘を無防備に落とさない」で「脇を立てて」、手首で8の字を描くようにあおぎます。 これははじめのうちはギクシャクするかもしれませんが、自転車と同じで、慣れていけば上手に出来るようになりますから、たくさん練習しましょう。 またいつかスペイン舞踊で使うカスタネット「カスターニャ(栗の実の意味)」や、それを使いやすく改良した「ミハルス」(日本人が発明したそうです!)、ロシアの踊りで使うスカーフなどについてもお話出来たら…と思います。(木村)
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