こんにちは、池上校講師の木村美那子です。 以前の投稿で「ハイハイの大切さ」をお伝えしたことを覚えていますか? ハイハイをすることで、背骨のコントロール力だけでなく、肋骨に納めきれない内臓を支えるための筋力を身につけることが出来ます。 今回の投稿では、その延長として「プランク」をご紹介いたします。 プランクは一定時間、同じ姿勢を保ち、静止した状態で筋肉に刺激を与える「アイソメトリック運動」に分類されます。 いわゆる「体幹トレーニング」として、写真のようなものが一般的です。 ですが、バレエ(だけではなく他のダンスやスポーツもそうですが)は、じっとしたままでは成立しませんから、ハイハイや体幹トレーニングで得た安定感を「土台」にして、身体の様々な部分を繊細に、かつダイナミックに動いてみることも大切です。 まずは2枚目の写真のように、手や足を浮かせて負荷を高めてみましょう。この際、バランスをとるために、目線や頭の位置がずれたり、背骨が必要以上に逃げたりしないように気を付けましょう。 写真の3枚目では、手のひらをついたところから、身体を床に下げて、片方ずつ肘をついてゆき、またそこから手のひらで床をプッシュ出来る身体の位置に戻しています。 「ハイハイの大切さ」の記事で、先にお話したように内臓を支える筋力のお話に加えて、背骨と肩甲骨の関係のお話もしましたが、四つんばいで手足を動かす場合には背骨と肩甲骨が動きますが、その動きがバレエで使えるような、コントロールされた、最小限のブレで実施出来るものにしていく必要があります。 内臓を支えることが出来るようになったら、写真の4枚目のように「サイドプランク」にも挑戦しましょう。 おへその向きを目安にすること、お尻が引けないようにすること、等々、胴体以外のパーツについてもチェックする必要が出てきますので、鏡に映したり、周りの人に確認をしてもらうと良いかもしれませんね。 写真5枚目では、みぞおちから上を3Dに動かすことで、さらに負荷をかけて胴体の安定感の向上を目指します。 最後の写真はみぞおちを中心に脚を動かすことで、胴体の安定感に加えて「操作性」を出せるようにするワーク「スネーク」ですが、こちらはスポーツ選手にもかなり有効なトレーニングとなります。 プランクはアイディア次第で、様々なジャンルの人に応用の出来るトレーニングです。
その一方で「見よう見まね」で実施していると、お腹を支える力が弱い人は特に、腰を痛めたり、肩関節や、股関節に必要の無い負担を掛けてしまうので、気を付けましょう。(木村)
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こんにちは、池上校講師の木村美那子です。 毎年新学期になると、私たち講師は、新入生の皆さんと「はじめまして」のご挨拶をしますが、担任制をとっているみなとシティバレエ団附属スクールでは、「はじめまして」は生徒さんにとってそれほど頻繁にあることではありません。 だからこそ私たち講師は、子どもたちの体験する「はじめまして」を大切にしています。
それはもちろんバレエとの出会いでもありますが、それだけではなく、先生との出会いや、お友だちとの出会い、新しい課題との出会いや、作品、振り付け等々、様々な「はじめまして」がより良いものであるように、またより良いものに出来るように、それぞれのクラスで工夫を凝らしています。 現実的なお話をすると、バレエは稽古を積めば積むほど、楽しいだけのものではなくなってきます。 自分の課題と向き合い、振り付けと向き合い、時には自分自身の心身にも正面から向き合わなくてはなりません。 それは時に(バレエへの憧れや、理想があればあるほど)本人の心に負担になったり、傷つけたりすることもあります。 ですが、その向こう側には、課題を乗り越える達成感や、作品を客席のお客さまと共有する喜びや、仲間同士の連帯感など、たくさんのきらきらした体験が待っています。 そして、そのような体験を通じて、本当の意味での自己肯定感を高めることが出来、バレエ以外でもしなやかに強い人間に成長していくことが出来るのではないでしょうか。 そこに至るまでの道のりを歩き続けるためのエネルギーは、すべて「はじめまして」の瞬間から子どもたちの中に生まれていますから、その「はじめまして」がより良いものであるようにセッティングすべく、私たち講師はひとりひとりに合った「はじめまして」を用意したいと考えています。 大人はどうしても「大人の目線」で物事を見たり、「大人の視点」で物事を判断したり、「大人の立場」で物事を考えたりしがちです。 例えば「バレエの先生」は「バレエが上手になってからの自分」が、物事を判断したり考えたりする土台となってしまいがちで、「バレエが上手になる前の自分」がどのようなことを考えていたか、どうやって自身を向上させるに至ったか、子どもの頃の「いま、ここ」で感じていたはずのことを忘れてしまっているように思います。 もちろん「先生」として、生徒の皆さんを導き、支え、手助けするためには、「先生」として見て、聞いて、考えて、行動することも大切ですが、やはり子どもたちの「いま、ここ」で起きていることを、「大人」とか「先生」という色眼鏡をかけて見るようなことが無いように気を付けたいものです。 これからもたくさんの子どもたちと、より良い「はじめまして」を体験していけるように、クラスをお届けしてまいります。(木村) こんにちは、池上校講師の木村美那子です。 先の投稿では扇子を使って踊るための練習をご紹介しましたが、今回もそれに引き続き、踊りで使う小道具のご紹介をいたします。 まずは「カスティーニャ」ですが、これはスペイン舞踊やフラメンコで使用するカスタネットです。 幼稚園や小学生の皆さんが使う赤と青の「カスタネット」とはだいぶ形が違いますし、指を入れる所もゴムではなく紐になっています。 実際のフラメンコではこの紐を親指にかけて使います。 片方ずつ音程が違うので、利き手側に高い音、反対の手に低い音のものを付けて、高い音の方は小指・薬指・中指・人差し指とバラバラに打ち、低い音の方は人差し指と中指で1回だけ打ちます。 バレエの場合は、オーケストラの方が音楽を奏でてくださいますから、そこまで細かく打ちませんし、ともすれば自分の打った音がオーケストラを邪魔してしまうこともあるので、音が出ないようにクッションを挟む場合もあります。 「ドン・キホーテ」の中で、主人公のキトリが街の人たちを盛り上げながら踊るヴァリエーションなどで使われることが多いです。 続いて「タンバリン」は表面に皮がはってある(はっていないものもあります)ので、太鼓のようにリズムを打つことも出来ますし、縁についている小さな「ジングル」というシンバルの部分で鈴のようにならすことも出来ます。 この楽器の起源は古く、北アフリカや中東の「タール」から来ていると言われたり、西アジアからインドや中国をわたってヨーロッパに伝播したとも言われています。 これは先の記事でもご紹介した「白鳥の湖」の「ナポリ」の踊りだけでなく、「ドン・キホーテ」や、ジプシーたちのパフォーマンスとして「エスメラルダ」などでも使われます。 踊りで使われる時は、衣裳や動きの邪魔にならないように、少し小さめのものが用いられることが多いようです。(木村の使っているタンバリンも小学校で使われる子供用の小ぶりなサイズとなっています。) 人類の最古の楽器は「笛」と「石で出来た<鉄琴>のようなもの」だといわれていますが、このお話についてはまた別の投稿でお伝えしたいと思っています。
人間の持つ心臓や脈のリズム。 これらを励まし、元気付けたり、盛り上げたりするタンバリンやカスタネットなどの小さな打楽器も、どのように踊りの中で使われているのか、ぜひ注目していただきたいですし、そこからバレエ音楽やオーケストラ、楽器の演奏についても興味を持っていただけたら嬉しいです。(そう考えると、ますますバレエが「総合芸術」であることが実感出来ますね!)(木村) こんにちは、池上校講師の木村美那子です。 みなとシティバレエ団附属三田バレエスクールでは、8月の発表会に向けて練習が進んでいます。 スクールの発表会では、「発表会だから」と言って、急に難しい内容に取り組むことはありません。 ですが、舞台の上から客席の皆さまにパフォーマンスをお届けする以上は、レッスンの内容であっても「作品」としてお見せ出来るように練習を積み重ねますし、課題の作品であればなおのこと、お客さまが見て楽しむことも出来るように、振り付けを「踊り」として磨いていく必要があります。 そのような中で大切になってくるのが、身体のケアです。 今回はレッスン前やレッスン後に行う簡単なケアのご紹介です。 小さい生徒さんは、それ以前によく寝て、よく食べて、よくお勉強をして、よく遊んで、よくお手伝いをすることで、自然とエネルギーがチャージされますから、のびのびと生活しましょう。 先の投稿でお伝えした「皮膚をゆるめる」こともしながら、今回お伝えするケアにも取り組んでみてくださいね。 写真の1枚目は膝関節の動きをスムーズにし、「ウナ」を軽くたたくことで足全体のつながりを良くしています。 小さなストレッチ・ポールで、背骨や股関節、また振り付けを練習する中で、同じ動きを繰り返すことで「クセ」のつきやすい脚をリセットしています。 足の外側と内側、前側と後ろ側の筋力のバランスを調整するために、セラバンド(薄いゴムバンド)で軽い負荷をかけています。 バレエではターン・アウト(外旋、アン・デオール)の動きを維持し続けるので、筋肉のバランスや運動性に少なからず影響を与えますから、レッスンが増えるほど、「バレエではない」動きを意識的に行う必要があります。 「バレリーナっぽい」からと言って、日常的に足をがに股にして歩くのは決して正しいこととは言えません。 出来るだけ全身の筋肉がバランス良くはたらくように心がけましょう! おまけ:写真の5枚目は「フロッグハンド」というケア用品で、足首や土踏まずを動かすだけでなく、足指の間にも刺激を入れてくれるので、足がくたびれた時に使っています。(木村)
こんにちは、池上校講師の木村美那子です。 これまで作品紹介ではチャイコフスキーが音楽を手掛けたものを中心にお送りしてきました。 これは「三大バレエ」として有名なだけでなく、音楽そのものも素晴らしい「作品」となっているからです。 チャイコフスキーはバレエ音楽を手掛けるにあたって、「バレエ音楽も音楽として素晴らしいものであれば、ダンサーたちの踊りがいかようであっても、その作品は良いものになる」と言ったと伝えられています。 チャイコフスキーがバレエ音楽を手掛けるようになるまでは、バレエ音楽は単なる踊るためのBGMであり、その作曲はまずダンサーが踊りやすいこと、そしてどんな振り付けや、どんなストーリーにも対応しやすいようになされていました。 ですから、それまでのバレエ音楽は最初に作られた作品「以外の」作品でも使われることがあったのです。 今回ご紹介する「海賊」という作品も、様々な作曲家の音楽が入れ替わり立ち替わり登場します。これは逆を言えば「ダンサーの特性を活かした作品にすることが出来る」ということでもありますから、「何がどうなっているのか」をきちんと理解して楽しむことも大切ですが、逆に「細かいことを考えずに」踊りのスケール感や、ダンサーの技巧や美しさを味わうことも出来るのではないでしょうか。 特にバレエコンサートなどでも多く上演される「花園」と「洞窟のグラン・パ・ド・ドゥ(トロワになることもあります)」は、その華やかさや美しさ、そして主役たちの絶対的なテクニックをお見せする必要があるので、ダンサーにとっては「よーし、やるぞ!」とわくわくすると同時に、(他の作品名でももちろんそうですが)プレッシャーも感じます。 さてストーリーは簡単なので、あらすじをご紹介しましょう。 お話の舞台はギリシャのとある島。そこに暮らすギリシャ人の娘、メドーラとその友人ギュリナーラが海岸で遊んでいると、浜辺に打ち上げられた男たちを見つけます。 彼らは海賊で船が座礁してしまったことをメドーラたちに明かしますが、当時大きな権力を持っていたトルコの兵隊に見つかれば捕まってしまう、と困った様子の船長・コンラッドと恋に落ちたメドーラは、彼らを洞窟に案内するのでした。 ですが、その時に運悪く奴隷商人のランケデムに見つかってしまったメドーラとギュリナーラは拐われてしまい、それを見たコンラッドたちは、友人のビルバントと、部下のアリたちと共に変装をして、奴隷市場にメドーラたちを助けに向かうのでした。 市場ではトルコ人のザイード・パシャが、自分の宮殿の中にあるハーレムに住まわせるための女性たちを探しに来ています。 そこで奴隷商人のランケデムは、すかさず先ほど拐ってきたメドーラとギュリナーラをはじめとするギリシャの娘たちを紹介するのでした。 彼女たちの美しさに機嫌の良くなるパシャですが、ランケデムの提示した金額に納得がいかず、値段の交渉を続けています。 そんな中で変装したコンラッドたちが現れて、かろうじてメドーラと何人かのギリシャ人の娘たちを救出することができました。 隠れ家の洞窟に戻ってきたコンラッドとメドーラたちは、祝杯をあげますが、メドーラの「ギリシャ人の娘たちは解放して家に帰らせてほしい」という申し出に、ビルバント以下の海賊たちは「自分たちの手柄を手放したくない」と反論します。 ですが、メドーラと恋仲になったコンラッドは、彼女の願いを聞き入れてギリシャ人の娘たちを解放してあげました。 その様子が面白くないビルバント以下海賊たちは、奴隷商人のランケデムと手を組んで、コンラッドからメドーラとギリシャ人の娘を奪い、ランケデムはこれをチャンスとばかりに、彼女たちをパシャのもとへ連れていくのでした。 パシャのハーレムではギュリナーラたちギリシャ人の娘たちが、捕らえられ豪華な衣裳を身に付けさせられています。
そこへ連れてこられたメドーラたち。メドーラとギュリナーラは再会を喜びますが、パシャに捕らえられてしまっていることには変わりません。 一方のパシャは、自分のお目当ての娘たちを手に入れることが出来て大喜び。夢の中でもメドーラたちが美しく舞い踊り、幸せな時間を過ごすのでした。 そこへやって来た巡礼の一団。彼らは巡礼の途中の宿を探していると言い、それを聞いたパシャは彼らを招き入れますが、実はこれも変装したコンラッド一行で、その場はあっという間に戦いの場面に変わります。 ビルバントと裏切りを知っているメドーラは、コンラッドにそれを伝え、コンラッドはビルバントやランケデムを退治して、メドーラたちと逃げ出すのでした。 ラストシーンは、海賊船に乗って大海原に漕ぎ出すコンラッドたちの姿で幕をおろすパターンと、そのあとに大嵐が来て…というパターンがあります。 6月には、みなとシティバレエ団のスタジオパフォーマンスとして「海賊」の抜粋版が上演されます。 果たしてどんな音楽が使われるのか、どんなストーリーに演出されているのか、今から楽しみですね! こんにちは、池上校講師の木村美那子です。 近年、様々なトレーニングツールやトレーニングギアが開発され、また手軽に自宅用として購入出来るようになりました。 皆さんのお家にも、何かしらのトレーニング用品があるのではないでしょうか? 今回の記事では「ストレッチ・ポール」についてお伝えしていきます。 Stretch Pole®️は、すでにメジャーなトレーニング用品ですが、この写真のように、背骨周りをゆるめたり、肩周りや胸の筋肉をストレッチするだけになってしまっていませんか? ストレッチ・ポールはそのシンプルな形状だからこそ、幅広い使い方が出来ます。 次の写真は、いわゆる体幹の意識を高めるワークです。 脚や腕を上げ下げすることで不安定になる身体を安定させるには、どの辺りに意識を置けば良いでしょうか? 慣れてきたらアームスをバレエで使うポジションにして、バレエのワークにもリンクさせることで、トレーニングしたこととバレエとが無関係になってしまわないようにしていきましょう。 もちろんストレッチの負荷を高めることにも使えます。 いつものストレッチのワークにストレッチ・ポールを加えることで、動きを出して筋肉が動きやすくなるのを助けたり、高さを出すことで、負荷を上げて筋肉の長さを導きやすくしてくれます。
(ストレッチには「静的ストレッチ」と「動的ストレッチ」があり、それぞれに長所や短所がありますが、それについてはまた別の記事でご紹介いたしますね。) ジュニア以上の生徒さんには、ストレッチ・ポールなどを使ったトレーニングをレッスンに取り入れています。 次回の記事でも、引き続きストレッチ・ポールを使ったワークをご紹介していきますね。 また、トレーニングは「見よう見まね」で行うと、効果が出ないばかりか、間違えた結果になってしまったり、怪我につながることもあるので、きちんとトレーナーや先生のもとで行うようにしましょう。 特に今はSNSなどで、柔軟性を自慢するような投稿や、本来であればジュニア世代ではやらない方が良いワークをしているものが、多々あります。 どうぞ「映える(ばえる)」ワークではなく、自身の身体作りに「意味のある」ワークを行ってください。(木村) こんにちは、池上校講師の木村美那子です。 先日の「白鳥の湖」からご紹介した「ナポリ」の踊りは、楽しんでいただけましたか? 実際に踊らなくとも、その音楽を聴いて「<白鳥の湖>も観てみたいな」と思っていただけたり、その他のチャイコフスキーの音楽(バレエの音楽以外にも素晴らしい曲をたくさん残しています)に興味をもっていただけたら嬉しいです。 さて、ナポリのお写真を見て「何を持っているんだろう?」と思った人もいたことでしょう。 あの踊りで使っていたのは「タンバリン」です。 「ナポリ」の踊りだけでなく、「タランテラ」(毒グモのお話を覚えていますか?)など、イタリアで踊られていた民族舞踊をもとにしたキャラクターダンスでは、タンバリンを使うことがあります。 あの明るい華やかなリズムは、その場を盛り上げ、楽しい気持ちにすることが出来そうですね! 今回はそこから踊りで使う「小道具」をご紹介していきます。 「白鳥の湖」でも「スペイン」の踊りがありますが、そこで使われるのが「扇子」です。 バレエ以外でも、日本舞踊などでも使われますし、踊りをしていない人でも日常的に使っている人もいることでしょう。 日本舞踊では風の抵抗を利用してくるりと回すこともありますし、扇子の面に描かれた絵も大切な表現の一部なので、きちんと紙や布を貼ったものになっていますが、バレエだ使う扇子は踊りの邪魔にならず、また衣裳の一部として華やかさを加えるために出来るだけ軽く、そしてレースなどを貼って作られています。 例えば「ドン・キホーテ」では主役のキトリだけでなく、街の女性たちも扇子を持って舞台に登場しますが、この時「小道具として扇子を持っています」と見せてしまっては、お芝居が成立しませんね。 日常的に扇子を使っているように演じるためには、やはり日頃から扇子に慣れておかなければいけませんから、ダンサーたちは本番でお衣裳さんや小道具さんからいただく扇子の他に、リハーサル(振り付けの練習)で使う扇子を自分で用意しています。 1枚目の写真は木村のリハーサル用の扇子です。 骨がプラスチックで出来ているので、壊れやすいのが玉に瑕ですが、軽くて開閉もしやすいので、大切に使っています。 先の投稿でキャラクターダンスは民族舞踊を「もとにした」バレエの踊りであることをお伝えしましたが、「スペイン」の踊りでも、その要素を取り入れつつも「バレエ」であることを忘れてはいけません。 ですから、扇子を持った時には扇子の先端までが自分のアームスであるかのように動かす練習をします。 扇子を持ったままで、ポール・ド・ブラを練習している様子です。 バレエ以外でも、日本舞踊などでも使われますし、踊りをしていない人でも日常的に使っている人もいることでしょう。 日本舞踊では風の抵抗を利用してくるりと回すこともありますし、扇子の面に描かれた絵も大切な表現の一部なので、きちんと紙や布を貼ったものになっていますが、バレエだ使う扇子は踊りの邪魔にならず、また衣裳の一部として華やかさを加えるために出来るだけ軽く、そしてレースなどを貼って作られています。 例えば「ドン・キホーテ」では主役のキトリだけでなく、街の女性たちも扇子を持って舞台に登場しますが、この時「小道具として扇子を持っています」と見せてしまっては、お芝居が成立しませんね。 日常的に扇子を使っているように演じるためには、やはり日頃から扇子に慣れておかなければいけませんから、ダンサーたちは本番でお衣裳さんや小道具さんからいただく扇子の他に、リハーサル(振り付けの練習)で使う扇子を自分で用意しています。 1枚目の写真は木村のリハーサル用の扇子です。 骨がプラスチックで出来ているので、壊れやすいのが玉に瑕ですが、軽くて開閉もしやすいので、大切に使っています。 先の投稿でキャラクターダンスは民族舞踊を「もとにした」バレエの踊りであることをお伝えしましたが、「スペイン」の踊りでも、その要素を取り入れつつも「バレエ」であることを忘れてはいけません。 ですから、扇子を持った時には扇子の先端までが自分のアームスであるかのように動かす練習をします。 扇子を持ったままで、ポール・ド・ブラを練習している様子です。 踊りの中で使う時は、日常生活でするようにパタパタとさせるのではなく、キャラクターダンスのアームスの基本(バレエでもそうですが)である「肘を無防備に落とさない」で「脇を立てて」、手首で8の字を描くようにあおぎます。 これははじめのうちはギクシャクするかもしれませんが、自転車と同じで、慣れていけば上手に出来るようになりますから、たくさん練習しましょう。 またいつかスペイン舞踊で使うカスタネット「カスターニャ(栗の実の意味)」や、それを使いやすく改良した「ミハルス」(日本人が発明したそうです!)、ロシアの踊りで使うスカーフなどについてもお話出来たら…と思います。(木村)
こんにちは、池上校講師の木村美那子です。 前回の投稿では、ストレッチ・ポールのご紹介と、ゆるめるだけでなく体幹のトレーニングも出来るというお話をしました。 ストレッチポール(Stretch Pole®️)には、少し細めのピンクや、短いもの、円柱形ではなく、その半分の「かまぼこ」のような形のものもありますから、用途や目的、トレーニング強度などにあわせてチョイスしてみてくださいね。 今回もストレッチ・ポールのワークについてご紹介していきます。 先の投稿でもお伝えしたように「見よう見まね」のワークは、目的とする効果が得られない場合や、時には怪我の原因ともなりますので、まずは一度、きちんとした指導を受けてから、トレーニングをするようにしてください。 以前の投稿で「背骨の大切さ」についてお伝えしたことを覚えていますか? 背骨は頭蓋骨・肋骨・骨盤をつなぐ大切にな骨であるとともに、肋骨部分では内臓を納めるケージ(かご)としての役割も果たしています。 その形状は「S字カーブ」となっていて「背骨を真っ直ぐ」にすることで、そのケージが十分なスペースを確保出来なくなってしまったり、地面からの衝撃を分散することが出来なくなってしまいます。 今回はその背骨のワークからスタートしましょう。 これは背骨をしなやかに動かしていきますが、背骨の特性として「頸椎(首の背骨)は繊細に動く」、「胸椎(肋骨の背骨)は動きにくい」、「腰椎(腰の背骨)はダイナミックに動く」というものがありますから、お腹が抜けてしまうと腰を痛める原因にもなるので、気をつけましょう。 そのため、トレーニングには「定番」なものもありますが、「何を・どの順番で・どのくらい行うか」は、ひとりひとり異なりますから、専門性や技術が高まって来たら、トレーニングは個別に指導を受けることをおすすめします。 そして背骨をしなやかに動かせるようになってきたら、そこに負荷をかけていきます。 腰部への負担を鑑みて、最近では「腹筋100回!」というような、腹筋さえあれば!というトレーニングや、精神論のトレーニングは減って来て、腹筋の力を借りながら、背骨を細やかにコントロールしていくワークをしていきましょう。 それによって手足の動きを邪魔しない胴体が出来るだけでなく、少しくらいバランスがずれてしまったとしても、リカバリー出来るコントロール力を身につけていくことが出来るのではないでしょうか? 次は一方に動かしていた背骨に立体的な動きを加えていきます。 バレエはポジションが決まっていますが、それは教科書に載っている絵のような平面的なものではなく、舞台という空間でより効果的に動けるためのものです。 力任せに引っ張るのではなく、背中と腕の関係や、それを支える腰周りの強さ、そして正しい立ち位置に導き、運動性を上げてくれる「ハムストリングス」への刺激、視線とバランスの関係…など、色々なポイントを確認することが出来ます。 最後の写真は、ストレッチ・ポールに乗ったままポール・ド・ブラをしたり、白鳥のアームスをしています。毎回これをご覧になった方が、皆さんびっくりされるのですが、これはそれほど難しくありません。 「足のケア」の投稿で「ウナ」や「ソマ」などのイラストを載せましたが、それらと、今までワークをしてきたことが組み合わされば、バランスを感じながら、楽に動くことが出来ますよ!(木村)
こんにちは、池上校講師の木村美那子です。 先日の「トレパック」の踊りは楽しく踊れましたか? 一言でロシア、と言ってもその国土は広く、様々な文化、言語、そして踊りが伝わっています。 みなとシティバレエ団附属のスクールで学ぶ生徒の皆さんの中に、クラシックバレエだけでなく、そのようなキャラクターダンスや、宮廷舞踊をもとにしたヒストリカルダンスにも、興味や関心を持つ人が増えてくれたら嬉しく思います。 それは、踊りを通じて、お互いの文化の一端を体験することで、たとえ言葉は通じなくとも、お互いを受けいれて、認め合えるようになるのではないかという希望でもあります。 そして自身が文化理解について努力するとともに、そこで得たものを土台にして、また他の人が芸術をはじめとした文化に触れる機会を提供するというお役目を果たせる人になっていけば、少しずつかもしれませんが「それぞれが<より良く在る>ために努力する」という「多様性」の実現にもつながるのではないでしょうか。 さて今回は「白鳥の湖」の作品紹介でもお伝えした「ナポリ」の踊りから、簡単なステップを3つ覚えて踊ってみましょう! もしお家に「白鳥の湖」の「ナポリ」の音楽があるようでしたら、後半のアップテンポになる部分からが踊りやすいかと思います。 まずひとつ目は「パー、ケン、パー、ケン」です。 バレエのポジションを知っている人は「跳んで2番、跳んでクペ、跳んで2番、跳んでクペ」を繰り返しましょう。 慣れてきたらクペの軸足側に軽く頭を倒してみたり、軸足側で手拍子をすると、よりリズム感が加わり見ている人にも楽しさが伝わります。 ふたつ目は「ジュテ・ソテ」です。 「ジュテ(jetes)」は「投げる、放る」の意味で、足を横(または前や後ろ)に出してから、もう片方の足で踏みきって跳び上がり、放った方の足で着地します。 クラシックではきちんと身体のセンターに着地する足が来ることが大切ですが、ここでは少し放る足に注目してもらうように、軽やかに跳びましょう。 そして最後は回転です。 とは言っても、片足でトントントンとリズムを踏みながら、軽く跳ねるようにして、少しずつ方向を変えていく(一般的には90°ずつ)感じなので、ピルエットのようにくるくると回転するものとは少し違いますね。 出来る人はアティテュードで回転してみましょう。遠心力がかかるので、お尻が出ないように注意です! これを組み合せてみると…
「2番、クペ、2番、クペ、2番、クペ、2番、クペ」 「トントントントン(1回で90°方向チェンジ)」 「ジュテ・ジュテ・ジュテ・ジュテ」 これで8カウント2回分の音楽の振り付けが出来ました! (カウントについては、また別の記事でお伝えしますね。) どうぞ楽しんで踊ってみてくださいね! おまけ:昔のイタリアでは「毒グモに噛まれたら、解毒するために踊る」という不思議な治療法があったとか…今でもその踊りは「タランテラ」として残っています。(木村) こんにちは、池上校講師の木村美那子です。 これまでご紹介してまいりました「身体遊び」から、少し進んで、ストレッチやコントロールについて数回に分けてお伝えしていこうと思いますので、ぜひ皆さんもこつこつと続けてみてくださいね。 今回はお家で出来るトレーニングのご紹介です。 まずは自分の身長に合う椅子を用意します。 ここで余談ですが、皆さんは自分の身体に合った椅子を使っていますか? 足がぶらぶらしていたり、座面にお尻が沈みすぎたり、背もたれが遠いままにしていては、子どもの筋力では姿勢を保持することが難しく、姿勢が保持出来ないがゆえに集中力が保てなかったり、逆に姿勢を保持しようと身体を無理に力ませてしまう場合もありますから、今一度お家の椅子をチェックしてみてください。 そしてもし足がぶらぶらしてしまう場合は足の下に台を置く、背もたれが遠い場合はクッションを入れる…など、ひと工夫をしてきちんと座れるようにしましょう。 椅子に座る際に気を付けるのは「骨盤」、特に「坐骨」です。 坐骨は体操座りをすると、床に当たってゴリゴリする骨ですがこれは骨盤の一部分で、坐骨が正しく座面や床をとらえられているということは、骨盤の在り方が正しいことの目安となります。 そして骨盤が直接当たっている「座位」の状態で、骨盤の在り方や、そこからつながる背骨や頭骨までの並び方を覚えることで、「立位」に進んだ時にも、より良く立つことが出来るようになります。 逆を言えば、手足の形や「バレエらしいポーズ」にとらわれ過ぎてしまうと、骨の位置や並び方に良くない影響が出てしまいますし、またそれを力任せに「矯正」しようとすると、ますます動きにくく、美しくない状態になり、けがにつながる場合もあるので、地味な作業ですが、きちんと骨盤の確認をするようにしましょう。 安定して座ることが出来たら、首を傾げてみたり、横を向いてみたりしてみましょう。 無理なく、そして肩や骨盤がずれることなく、頭を動かすことが出来たら、背骨にフォーカスして縦、横、斜めに動かしてみても骨盤が安定していられるかどうか、など試してみてください。 ここで大切なことは「安定」は「固定」ではないということです。
安定とはどのように動いても、もとの姿に戻って来られるしなやかな強さのことであり、固定はそこを離れたらその役割やはたらきが出来なくなってしまうものです。 骨盤を土台にした上半身、特に胴体の安定感を得ることで、スムーズな脚の動きが向上していきますから、少しずつトレーニングをしていきましょうね。(木村) |